銀山温泉
ガス灯の点る湯の街そぞろゆく名残りの月の天心に澄む ガス灯の仄かに照らす湯の街にゆつたり刻のながるるらしき 木造の廊下を歩めばキシキシと軋む音する湯の宿の夜 カラコロと下駄の音闇にひびかせて銀山川の板橋わたる 後夜の月窓続きを読む銀山温泉[…]
阿部幸子さんの歌集「山刀伐峠(なたぎりとうげ)」をご紹介するページです
ガス灯の点る湯の街そぞろゆく名残りの月の天心に澄む ガス灯の仄かに照らす湯の街にゆつたり刻のながるるらしき 木造の廊下を歩めばキシキシと軋む音する湯の宿の夜 カラコロと下駄の音闇にひびかせて銀山川の板橋わたる 後夜の月窓続きを読む銀山温泉[…]
里川に魚のぼりくるひとときをつり人群るる過疎なる村に いにしへゆ今につたへて古里の酒酌み交はすさなぶりに合ふ 串刺しの川魚を焼きゐる村人ら煙のなかのさなぶり料理 &続きを読むさなぶり[…]
夏富士に登らむと友に誘はれて朝の暗きに五合目を発つ 八合目の岩にやすらひ見おろせばなだりに大き富士の影あり 五歩登り三歩攀ぢ行く富士の嶺ふんばりどころの九合五勺 富士の嶺に立てば眼下の黒雲のなかを雷鳴の轟きて続きを読む夏富士[…]
鬼岳にかけ登りきて汗ばめるわたしにまつはる頂の風 六百年生き来し平戸の大蘇鉄総身に釘を打ちこまれゐつ 虚と実のあはひ詠めとぞ諭されし師の御霊かも青き蛍火 華やげる名の札ならぶ花菖蒲組みかへられし遺伝子もちて 続きを読む蛍火[…]
看護師のピンチヒッター引きつぎて老いの命の日々を見守る 癌を病む媼支へて歩み寄るホームにうすき陽の入る わが唄ふ「夕焼け小焼け」が広がりて施設のホールに合唱となる 幾たびも子の名を叫び伸ばす手を続きを読む老人ホーム[…]