蛍火

鬼岳にかけ登りきて汗ばめるわたしにまつはる頂の風

 

六百年生き来し平戸の大蘇鉄総身に釘を打ちこまれゐつ

 

虚と実のあはひ詠めとぞ諭されし師の御霊かも青き蛍火

 

華やげる名の札ならぶ花菖蒲組みかへられし遺伝子もちて

 

裏庭の泰山木の花開きかをり降りくる梅雨の晴れ間を

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